レポート

第1回東北工業大学 登米市民公開講座を開催しました

「とよま城下町の魅力~歴史ある建物を未来に伝える~」

9月19日(木)登米市民公開講座を開催し、蔵の資料館エビキホールが満席となる盛り上がりでした。

会場は中村先生と学生が調査・修復を手掛けたもので、ノスタルジックな雰囲気の中、熊谷盛廣登米市長から開会の挨拶をいただき、本学建築学科 中村琢巳先生の講義が始まりました。

はじめに先生の研究されている建築史学の4つのステップについてのお話がありました。

【歴史的建造物の調査・保存修復・活用を考える建築史学】

①学生参加による建造物の調査、価値の評価、過程の記録、②地域の方々との価値の共有③建造物自体を整備・修復。この修復とはあくまで建物本来の価値をそのままみせることであり、リノベーションとは異なる、④その歴史的建造物・文化財の活用を考える、ということでした。

【多彩な表情をもつ東北の城下町-地方の特色】

文化財の活用という事例から、実際に修復に携わったエビキホールの紹介。そして弘前では、歴史的建物が数多くある地域の伝統文化の再現として侍文化を体験できる街づくりをし、無形文化と有形文化がうまく融合して価値を高めるという活動を紹介いただきました。

【とよま城下町の特色】

とよま城下町はコンパクトに士農工商が見える街づくりがされており、現在も江戸時代絵図の骨格が残っている日本が誇る地方城下町であること。北上川と共生する街全体が自然環境と調和し、武家屋敷も自家菜園など侍文化の特徴が残り、建築・庭木の一体化が素晴らしいとのことでした。

また、登米大工と気仙大工の合作がみられる近代洋風建築・看板建築も数多く残されており、同じエリアにバリエーション豊かな、蔵・町屋・洋風建築が融合され、文化的に貴重な地域であるとして講義を終えました。

 

講義後、受講された方々からは、説明がわかりやすく、登米の魅力について再発見するとともに見え方も違ってくると好評でした。また、切実な悩みとして、歴史的建造物の個人保存の限界についての質問には、長期的な行政の助けが必要不可欠なので、行政と個人をつなぐ仲介を地域のまちづくり団体が行うべきという先生の考えを丁寧に説明いただきました。

最後に本学小祝地域連携センター長からの閉会の挨拶で盛況のうちに幕を閉じました。

 

蔵の資料館“エビキホール”蔵の資料館“エビキホール”
講師の建築学科 中村琢巳先生講師の建築学科 中村琢巳先生
開会の挨拶 熊谷盛廣 登米市長開会の挨拶 熊谷盛廣 登米市長
小祝慶紀 地域連携センター長小祝慶紀 地域連携センター長