講座情報

令和5年度「地域未来学」講座23 開催報告

日 時:12月2日(土)13:30~15:00
講 師: 小祝 慶紀(東北工業大学 ライフデザイン学部 経営コミュニケーション学科 教授)
タイトル:「環境政策の経済学 -環境問題へ応用された経済学の手法とは-」

環境問題と経済について研究されている、小祝先生に講義いただきました。

はじめに、「社会的共通資本」について解説されました。社会的共通資本は、豊かな経済生活を営み,魅力ある社会を持続的,安定的に維持する自然環境や社会的装置であり、社会全体にとっての共通の財産として管理、運営されるものである。よって社会全体で活用した方が私的に使用するより経済的便益が大きいときに社会的共通になり、その費用負担は、社会の構成員の所得階層によって決まると解説されました。
社会的共通資本の具体的形態として、山や森林、大気等の自然環境、道路や橋、鉄道などの社会的インフラ、教育、医療等の制度資本をあげられ、世代間公平の課題があるとされました。また社会的共通資本として捉える「環境」は、社会的な合意を形成し、ルール(制度)に従って、使用されるものであると話されました。

続いて、環境政策の手法の理論のうち、規制的手法、経済的手法について紹介されました。規制的手法は公害問題などの解決に用いられてきましたが、地球環境問題といった新しい問題に対し馴染みにくい点があることから、経済的誘因(インセンティブ)を与えることで事所定の政策目標を実現する経済的手法が登場しました。しかしこの手法は、モノを売り買いする市場のメカニズムになじまないということで、外部不経済とよばれるものを市場経済に取り込む政策が行われ、その具体的な例として、環境税や排出量取引制度の理論を紹介されました。

後半は、これらの理論を用いた具体的な政策について図を示しながら、制度の仕組みやその効果や課題について紹介された後、実際の環境政策に経済的「インセンティブ」は効いているか、また実際に効かせるにはどうすればよいかということが、皆で考えていくべき課題とし、講義を終えられました。

紙媒体の資料にイラストや解説を書き込み、終始ユーモアも交えながら講義を進められました。