講座情報

令和5年度「地域未来学」講座18 開催報告

日 時:10月31日(火)18:00~19:00
講 師:大沼 正寛(東北工業大学 ライフデザイン学部 生活デザイン学科 教授)
タイトル:「まちかどの風景とリ・デザイン —仙台たてものがたり—」

地域空間のデザインについて研究をされている大沼先生に講義いただきました。今回は仙台市内10か所の建物について解説されました。

講義の前提として、江戸時代の仙台城下の町割りについて古地図を基に説明され、ヴィスタ(見通しのよさ)と山あてを意識しており、当時としては最新の街づくりであること、また極めて広く武家地を設定しているという点を指摘されました。これらの知識を基に、各建物についての解説を進めていきました。

今回、仙台市歴史民俗資料館、デフォレスト館など公のものから、針惣旅館(針生家住宅)といった個人住宅など、合計10か所を取り上げました。これらの建物と同時期に設計された関連する建築物を通して、当時の時代背景やそれを反映した建築意匠の流行についてお話しされました。

建築物には、愛着や風合い美、歴史性といった、時間と共に深まる「経年醸成価値」というキーワードにふれた後、仙台は軍都、商都、学都とも言われた時期があることから特色ある町割である、それを背景に建築された先端的なものや、流行を追わない独創的なものなどの特徴ある建築物を、劣化したからと言って滅失させる傾向にある現状に疑問を呈し、長く大切に使い続けられる可能性があると述べられました。仙台はまちとして多面的な部分があり、いくつもの主体的な人が関わる「まちかど」を育てていく機運に繋がれば、今回の学びにも意義があるのではないかと話され、講義を終えました。