講座情報

令和5年度「地域未来学」講座16 開催報告

日 時:10月14日(土)14:45~15:45
講 師:小田 隆史先生(東京大学大学院 総合文化研究科 准教授)
タイトル:「地域防災に活かす地理情報」

昨年に引き続き、防災地理について研究されている小田先生にご講義いただきました。

前半は、自然災害の捉え方として、災害発生のメカニズムについて解説されました。
自然災害は、まず誘因(ハザード)があって被害の有無・大小があるという関係性になっており、地域の土地条件(地形、地盤など)と社会的条件(経済、ネットワークなど)に被害状況が左右されると解説されました。この「地域の条件」の部分を理解することで、地域の防災に活かすことができると話されました。
日本はこれまで、治水や科学技術、ビッグデータを活かすことで災害が起きても被害を最小限に抑えてきました。しかし、国土交通省が「新たなステージ」と表現する、自然現象の激化により、さらなる災害対応が必要であるとされ、「自らの命は、自らで守る」ことを主軸とした防災対策への転換が提言されていると話されました。

後半は、地図情報を用いて災害に対してどのように備えていくかについて解説されました。
自身にとって身近な地域がどのような地域条件になっているか、どのような災害リスクがあるかを知ることは有益なことで、知る上で地図情報は重要であるとされました。情報の読み取りで基本的な部分として地形の高低差をあげられ、仙台の鳥瞰地形図を事例に説明されました。
終盤は、建物や道路の位置など様々な意味を持つ地図と、位置情報を基準に重ねることでできる、地理情報システム(GIS)について説明され、実際にシステムを使用している様子を共有いただきました。実際の地理情報に触れ、受講生にとっても有意義な機会となりました。