講座情報

令和5年度「地域未来学」講座9 開催報告

日 時:9月9日(土)14:45~15:45
講 師:今村 文彦先生(東北大学 災害科学国際研究所 災害評価・低減研究部門 津波工学研究分野 教授)
タイトル:「震災から12年を経た地域の復興と新しい防災の取組」

昨年に引き続き、今村先生にご講義いただきました。
冒頭、今年は災害史にとって節目の年ということで、発災100年を迎えた関東大震災について触れたのち、東北地方の過去の地震・津波の発生状況、そして東日本大震災について様々な観点から説明されました。東日本大震災は広域・複合・連鎖災害で、どの部分を対処すれば災害を最小限にできるかを考えることができると話されました。

東日本大震災の教訓として、備え以上のことはできなかったとし、できなかった備えとして、津波避難や複合災害対応、安全・安心なまちづくりへの意識の醸成をあげられました。また、事前防災(対策)は被害を軽減できるがゼロにはできない、危機管理と対応計画は最悪のシナリオに基づいている必要がある、という点を教訓としてあげられました。
伝承していく上で、伝統・復興ツーリズムの推進が、復興の加速化や新しい防災文化を形成する上でも必要ではないかと提示されました。過去の教訓を学ぶために、様々な方法の中でも「現場に行き、資料を読んで見て、話を聞く」ことが五感を最も刺激するとし、この点に伝承・復興ツーリズムの意義があるとされ、事例として、「3.11伝承ロード」の事例を紹介されました。ツーリズムについては、コロナ禍の影響で課題はあるものの、足を運ぶ人がいることで、持続的な発展が図れると話されました。

終盤は「3.11」以後の災害、大型台風の東北上陸や新型コロナウイルスの感染症などの話題に触れ、これらの様々なリスクへの対応策として、経験や教育を繋げながら、今の対応・対策を強化する、社会のシステムを変えていく、という点を挙げ、地域のレジリエンス性を上げることが重要と話されました。

講座の最後に「知識は命を救う」とお話しされました。防災・減災についての学びを提供する「地域未来学」としても大事にすべき点であると感じました。