講座情報

令和5年度「地域未来学」講座2 開催報告

日 時:7月1日(土)14:45~15:45
講 師:棟方 有宗先生(宮城教育大学 教育学部 理科教育講座 准教授)
タイトル:「東日本大震災で被災した井土メダカの保全活動」

魚類行動生理学の研究者であり、震災後に野生メダカ保全の取組みを進めてきた、棟方先生に講義いただきました。
前半は、この講義の中心となるメダカの基礎知識について説明されました。メダカは水田の魚というイメージがあるが、実は海水魚に近いということ、宮城のメダカは「ミナミメダカ」が多く、海に近いところに多く生息しているということ、絶滅が危惧されている状況にあること等、様々なメダカの情報を示されました。
後半は、東日本大震災後のメダカの状況や、メダカという資源を保全する取組みについて解説されました。主に仙台市井土地区にあったメダカの住処では、メダカが一匹もいなくなり、その後の再整備事業等でメダカの生育に適さないようになってしまいました。現在は八木山動物公園と協力し「井土メダカ」として、野生個体群の復活への取組みを進めており、田んぼで育てる取組み、あるいはビオトープ(生物生息空間)を設けて生息させるといった取組み、さらにビオトープ構築の波及効果でできた農薬不使用の米作りについて紹介されました。課題として、コンクリート水路等が整備された環境で、農業もメダカも共存できる仕組みを模索する必要があるとされました。
終盤は、メダカの保全につながるのではないかということで、メダカの育て方について紹介されました。その後の質疑応答では、広瀬川上流部での生息域の活用の可否等、様々な質問があり、先生の見解をより詳しく伺うことができました。

「メダカ」を通して、環境整備の課題、行政の姿勢、生態を保全することの難しさ等、様々なことが伺い知れる講義となりました。