講座情報

令和5年度「地域未来学」講座1 開催報告

日 時:7月1日(土)13:30~14:30
講 師:山田 一裕先生(東北工業大学 工学部環境応用化学科 教授)
タイトル:「多様な価値を共有・発展させる、"広瀬川学"に期待したい」

今年度の初回講座は、昨年度に引き続き、本学地域連携センター長でもある山田先生に行っていただきました。
前半は、地域学とは何か、環境分野の研究テーマとは何か、環境白書にみる今後の展望など、多様な面から環境問題について解説いただいたのち、身近な地域である宮城県の水環境の状況について、県作成の基本計画、パブリックコメント公開資料等を示しながら説明されました。
中盤は、広瀬川の現状と課題、取組みについてふれながら「広瀬川学」の話題を展開されました。降雨や流れの影響で水生生物の出現が変わる、流域にあるマイクロプラスチックのごみが生態系に影響を及ぼすなどの課題もある一方、その課題に対する取組みや、川の自然の音を守ろうという取組みを通じて、広瀬川の実態を解説されました。
終盤、河川環境の評価指標の変遷をたどりながら、今後は環境資源としての指標、SDGs視点の指標が求められるのではないかと話されました。さらに、実際に地元企業が行っている水辺観察・水質調査の実例を示しながら、地域住民や子ども達が主体的に参加できる観察活動を発展させ、バリアフリーも考慮しながら、誰もが参画できる環境保全、環境評価の活動を推進すべきとされました。
まとめとして、多様な視点による広瀬川の捉え直しが、その価値の再構築となる。いつまでも身近で潤いのある広瀬川であるためにも、誰もが関われる「広瀬川学」から、課題を明らかにして、解決策などを議論し、提案・実践すべきとされ、講義を終えられました。

「誰もが関われる」というキーワードが講義中に度々出てきました。一人一人が地域の課題、社会問題にどう関わり、どのような未来にしていくのかを考えるという「地域未来学」の講座の根幹を示されたように感じる講座となりました。