講座情報

令和4年度「地域未来学」講座18 開催報告

日時:10月29日(土)13:30~14:30
講師: 芝田 正 先生(東北放送株式会社 技術局次長 兼 技術管理部長)
タイトル「複雑化するメディア環境と放送局~情報空間・メディアリテラシー・SDGs・放送技術~」

昨年に引き続き、放送業界の第一線で活躍されている芝田様に、現在のメディアが置かれている環境と、放送局の役割について多角的な視点からお話を頂きました。

冒頭、「放送メディア」と「通信メディア」の現状について、メディアとは何かという原点から解説があり、メディアとはコミュニケーションを「媒(仲立ち)する」モノやコトであるという定義づけされました。その上で、現在の放送メディアであるラジオとテレビは、インターネットの普及拡大によるメディアの多様化といった変革の中、岐路に立っていること。一方インターネットメディアなどの通信メディアは、豊かな情報空間を創出できる傍ら、その信ぴょう性などの問題も抱えていることに言及されました。
そのような中で、諸課題をどのように乗り越えるか、tbc東北放送の取り組みを紹介するとともに、国の政策や総務省の制度、関連の法律を交え、メディアが置かれている多角的な課題への対応について確認していきました。
また、昨今では災害に対応するということが大きな使命である放送局の取り組みを、東日本大震災の被災の経験を踏まえ行ってきたこと、さらに、田園都市構想などの国の施策に対して、地方のテレビ局などがどのように向き合うということや、デジタル時代であるが故の地域性や地域との協働についてお話しされました。

現在、インターネット通信の利用時間が、平日においてはテレビやラジオを上回っているという調査結果が2年連続で示されています。今後インターネット通信への偏りは減ることはないと想定されることから、ローカル放送がどんな役割を担うか、時代の分岐点にあるという状況です。より良いメディア環境や正しい情報の共有は人間の権利でもあり、放送の電波は社会資源かつ重要なインフラでもあり、そのような放送を取り巻く環境の変化は、放送局だけではなく、広く公共の課題であるという認識を示されました。

最後に、「メディアはメッセージである」「地球規模で考え、足元から行動する」いうフレーズを紹介され、メディアもグローバルに考え、ローカル情報を発信していきたいとし、本日の講義を終えられました。
地域を支える一人一人への有益な財産、資源としてメディアを欠くことはできません。何気ない情報源というだけではない重要なインフラであるメディアについて、未来のために個々人がより真剣に向き合うべきと感じました。