講座情報

令和4年度「地域未来学」講座13 開催報告

日 時:10月1日(土)14:45~15:45
講 師:中田 俊彦先生(東北大学大学院工学研究科 技術社会システム専攻 教授)
タイトル:「カーボンニュートラル社会の地域デザイン」

エネルギー分野を通じた社会構造について研究している、東北大学の中田先生に講義いただきました。

前半は、カーボンニュートラルの現状についてお話いただきました。
2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会を目指すとした日本ですが、現状は排気ガスの排出量は大きく変わらず、電気も大半を火力発電で賄っている現状があります。その状況の中、段階的に二酸化炭素の排出量を減らし、2050年以降はネガティブカーボンを進めようという意識があり、若い世代の方は、これまでのエネルギーに変わるものを見つけ社会に組み込んでいく主役になると説明されました。また、エネルギーの変遷についても説明され、これからの世代は気候変動に耐える世代でもあると示されました。

エネルギーシステムを考える上では、国全体、地域ごとで、CO2の排出量の実態や、適した解決策を考える必要があり、その上で改めて全体像を考える、また時間軸も考えるべきであると解説されました。

後半は、先生が作成された「地域エネルギー需給データベース」について紹介されました。
エネルギーシステムを考える上では、精度の高いデータが必要不可欠ですが、そのデータを示すために、先生がシステムを構築するために使用されたエネルギーフロー図も紹介しながら、日本のエネルギー使用の詳細な割合について説明されました。
これらを基に制作された「データベース」について、実際に講義上でもシステムを操作され、地域ごとのエネルギーの現状について調べる過程を実演されました。

最後に化石燃料を減らしつつ生活の豊かさを落とさないというのがカーボンニュートラルの基本的な考え方で、地域の付加価値を高めていくために、一人ひとりが自分には何ができるのかということを考えていくべきとまとめられました。

「カーボンニュートラル」という言葉について、またエネルギー使用の現状について、詳細なデータを示しながら解説されていました。日本の現状が世界的に見ても良い状況ではないこと、その状況を打破するために個人レベルでやれることがあるということを実感しました。時折ユーモアを交えられ、また若い世代へのメッセージ性の強さが印象に残りました。