講座情報

令和4年度「地域未来学」講座8 開催報告

日 時:9月10日(土)14:45~15:45
講 師:坂本 泰伸先生(東北学院大学 教養学部 情報科学科 教授)
タイトル:「知っているようで知らないコミュニケーションの話〜地域の関係を上手に作るために〜」

コミュニケーションを支援する情報システムの開発を通じた地域貢献について研究している、東北学院大学の坂本泰伸先生にご講義いただきました。

前半はコミュニケーションの話の前段階として、情報の基礎的知識やコミュニケーションの関係について説明されました。
「単なる事象」が「情報」になる過程としては、自分と関係あるかどうかにより、自分自身に関係する要素(気候、予定等)が、個人の「判断の助け」になるそうです。「情報」は「知識」とも呼ばれ、この「知識」は、個々人で違う内容であることが普通で、そのことを前提に情報を考える必要があると説明されました。また社会生活の中では、個々人が違う「知識」を新しい「知識」として得て、さらなる知識を生み出す活動をすることで、人類は社会を発展させてきたと示されました。
また、知識の伝達によって多くの人の共通の知識となることが常識やモラルとなる一方、それが異文化になると非常識になり得ることも意識すべきと指摘されました。

後半は、様々なコミュニケーションの特徴について考察しました。
課題解決を目的とした男性型コミュニケーションと心地よい空間共有を目的とした女性型コミュニケーション、さらに「言葉を使う」バーバルコミュニケーションと「言葉を使わない」ノンバーバルコミュニケーションについて紹介され、それぞれの特性や関係性について触れていきました。
コミュニケーションでは、「言葉」だけで説明されない部分を指す「コンテキスト(文脈)」が重要な役割を果たすことを理解する必要があると示されました。日本は、コミュニケーションの際に明確に言葉に現れない部分に依存する高コンテキスト文化であり、「言わなくてもわかる」ということでの弊害が多いそうで、これが「異文化」の人には厳しい環境であることを認識すべきと指摘されました。

最後にまとめとして、心の中にあることが現れでる「表出」が難しいことを理解する必要があるということ、特に地域で仕事をする人は、高コンテキストだけでなく、言語に依存する低コンテキスト、またどちらのコミュニケーションも意識するべきということを示され、講義を終えられました。

話が進むにつれて、「前の話はそういうことだったのか」と思えることが多く、地域を構築する上でも重要な要素になり得るコミュニケーションについて、改めて考えさせられた講義でした。