講座情報

令和4年度「地域未来学」講座7 開催報告

日 時:9月10日(土)13:30~14:30
講 師:武田 洋一先生(株式会社オイルプラントナトリ 代表取締役社長)
タイトル:「地球環境の改善事業とBCP(家庭用天ぷら油で車を走らせています)」

名取市で産業廃棄物の再資源化に取り組んでいる、株式会社オイルプラントナトリの武田洋一社長にご講義いただきました。序盤は会社のご紹介を通して、どのようなリサイクルを行ってきたか、会社設立当時の社会情勢やその後の技術の変化も交えてお話しいただきました。

続いて、バイオディーゼル燃料の生産について、1900年のパリ万博で発表されたディーゼルエンジンの燃料に、100%ピーナツ油が使用されていたことから着想を得た、天ぷら油でトラックを走らせるという取組みについてご紹介いただきました。初めはビーカーや缶から始まり、試行錯誤を繰り返した末プラントの完成、さらに実際にトラックを走らせるまでに至りました。現在では、食堂やホテル、食品工場などから食用油を回収し、名取市内でも一般家庭や福祉施設、スーパーから油を回収し、社用車だけでなく、公共交通機関でも燃料が使用されていることが紹介されました。

後半は、震災による被害とその復興ということで、震災当時の状況を写真等でご紹介いただいたのち、震災発生の40日前に作成していたというBCP(事業継続計画)をもとに当時の対応、実際に復旧・復興に向けて行った取り組みについてお話しされました。特に復旧計画については、優先順位を決めて取り組む、場合によっては当面停止する事業も検討するといった、非常に難しい判断をしながら、やるべきことを遂行していった様子が、オンライン越しですが実感を持って伝わってきました。

BCPで出来た事として、研修・訓練等により緊急時の初動対応が適切にでき、事業継続の意思が共有できていたこと、事前に情報システムの二重化や耐震対策を講じていたことから、事業復旧体制が早期に構築できたこと、事業復旧の優先順位や業務の取捨選択が比較的短期間で出来たことを挙げられました。武田社長が今回特に伝えたいこととして、通常時の事業が中断する事態になった時の事前の備えの重要性と、その手段としてBCPが大いに役立つという点を強調されていました。

実際に試行錯誤しながら、長年にわたり会社経営を行ってきた経験に裏打ちされたお話で、事業を運営する社会人はもちろん、今後同様の機会を持つことがあり得る学生にとっても多くの示唆に富んだ60分でした。