地域未来構築事業

地域未来学

令和3年度「地域未来学」講座27 開催報告

日時
12月1日(水)15:30~16:30
講師
小出 英夫 先生(東北工業大学 工学部 都市マネジメント学科 教授)
タイトル
「復興大学発の橋梁点検支援装置とコンクリートの引張強度の探求」

コンクリートの引張特性について研究されている本学の小出 英夫先生より、前半は橋梁点検支援装置の開発について、後半はコンクリートの引張強度についてご講義をいただきました。
はじめに、この2つのテーマがインフラの長寿命化、耐久性の確保にどのように関係しているのかについて、建設後50年を経過した橋梁の割合は現在32%だが、10年後には57%にも増加することから、今後急増するメンテナンスに向けて、ともにコンクリート構造物の長寿命化に貢献することを示されました。

先生と企業が共同で開発した橋梁下面の近接目視支援簡易装置「診れるんです®」は、復興大学の技術課題支援として開発がスタートし、国土交通省の「点検支援技術 性能カタログ」にも掲載されています。
複数のカメラを取り付けた棒部材を高欄部より吊上げ、リアルタイム映像を確認しながら静止画像も同時に取得することで、点検を効率的に実行しています。また、小型な装置であるため積み込みや仕組みも簡単で、少ない交通規制の中での点検作業が可能となっており、実際の点検の様子を動画や写真も交えながら、分かりやすくご説明いただきました。

後半はコンクリートの引張強度について、実験映像も示されながらご説明をいただきました。 一般的なコンクリートの割裂引張試験では、結果の値がまちまちで、精度が低いものでしたが、先生の研究で提案されている直接引張試験において、ひずみ制御の自動調整システムを導入することにより、安定した試験が可能となりました。さらに湿潤と気乾、空気量などの環境変化による強度変化の特性も評価することができます。
直接引張試験により、安定して精度よく特性を導くことで、構造物の耐久性の評価が可能となり、より良い維持管理計画の策定に役立てることで、社会インフラのサイクルコスト低減や長寿命化に貢献できると述べられ講義は終了いたしました。

令和3年度「地域未来学」講座27 開催報告
令和3年度「地域未来学」講座27 開催報告