地域未来構築事業

地域未来学

令和3年度「地域未来学」講座24 開催報告

日時
10月30日(土)14:45~15:45
講師
吉岡 敏明 先生(東北大学 大学院環境科学研究科 教授)
タイトル
「プラスチック3R+Renewableの意義」

環境科学やリサイクル工学について研究されている東北大学の吉岡 敏明先生よりご講義をいただき、3Rの意味の解説から、プラスチックのリサイクルと活用について紹介がありました。
昨今コロナ禍の状況と合わせて、プラスチックの問題がさらに大きな課題となっています。
世界のプラスチック生産量は3億5千万トンにも及び、特にアジアからのプラ排出が半数を占めているという事実と、廃プラの約4割を容器包装プラが占め、その32%が環境流出の状況にあります。 一般的な家庭ごみも例外ではなく、コロナ禍のステイホームなどの影響で、コロナ以前よりも約10%に近い数値で増えている自治体報告も示されました。
このような状況の中、更に深刻な影響として海洋プラの問題が紹介され、2050年までに何も手を打たず、現在の暮らしの延長が続けば、海洋中のプラが魚の量を超過するという衝撃的な試算が出されました。
また近年は中国をはじめアジアの廃プラ輸入規制が相次いでいることから、ますます自国でのプラの循環を重要な課題として捉える必要があると述べられました。

こうした課題からプラスチックのケミカルリサイクルの技術例や、将来への活用目標、そして目指すプラスチック資源循環や海洋流出抑制の姿などが示されました。
石油精製プロセスからのプラスチックの精製までの過程や、油化の技術開発なども紹介され、さらに生分解性プラスチックや、高いセルロース系バイオマスのポテンシャルについて解説がありました。 最後に先生から参加者へ向け「バイオ素材、天然素材と聞いた時に、環境へ自然に分解されるものだというイメージを持っていた方はどれほどいますか?」という問いかけがなされ、多くの参加者の手があがると、天然素材でも分解されないものもあり、石油プラの量を減らし天然素材を使えばよいという動きが誤解を与えていることを指摘されました。
そしてプラスチック問題は私たち消費者の使い方や意識・知識に大きく依存すること、使う側の責任として何が最適であるか知識をつけることも重要であり、プラスチックとの共存をもっと「自分ごと」として捉えていってほしいというメッセージを送られました。

令和3年度「地域未来学」講座24 開催報告
令和3年度「地域未来学」講座24 開催報告