地域未来構築事業

地域未来学

令和3年度「地域未来学」講座22 開催報告

日時
10月23日(土)13:30~15:00
講師
大沼 正寛 教授(東北工業大学 ライフデザイン学部 生活デザイン学科)
タイトル
「生業景と建築遺産―地技を支える場のデザイン―」

学都仙台コンソーシアム サテライトキャンパス公開講座を兼ねての開催で90分の特別講義となった今回は、「造家造景」をキーワードに研究されている大沼 正寛先生にご講義いただきました。

はじめに東北各地の建築遺産の事例を基に、経年醸成の価値について論じられ、時間と共に事物の「交換価値」は減価する一方、愛着、風合い美、地域での歴史性といった「醸成」の価値が高まっていくという持論を展開されました。その一方で、東日本大震災後の防潮堤の建造や、宮城県美術館移転構想のケースに代表されるように、経年醸成価値が共有されず人為的に破壊されることも多く、味わいある建築・地域のデザインには、主体(建物や環境を使用する主体)と活動が重要であると強調されました。

中盤からは、先生が現在精力的に活動されている「コアトリエ」や「生業景」というキーワードについて、いくつかの事例も交えながら説明されました。様々な活動を行っている中で、一つの概念として、地域の資源・環境を活かして価値を生み出す技能・技術を基にした生業・活動(地技型生業)と、これを成立させる背景・立地性との融合により生まれる景観が「生業景」であると定義づけられました。この概念を活かしてデザインを実践したケースも紹介され、そういったデザインを通して主体・活動・建築・環境の調和を模索していくことも大事な仕事であると述べられました。
最後に、「生業景」という総体の価値も持続の目標・手段になり、地域の文化や環境の再価値化は様々に展開されていくだろうとした上で、一方で資源を再編し、場づくりを具体化する、ソフトとハードの広義の建築を今後も検討していきたいと述べられ講義は終了いたしました。

生業景デザイン研究所
https://ru-cas.jp/

令和3年度「地域未来学」講座22 開催報告
令和3年度「地域未来学」講座22 開催報告