地域未来構築事業

地域未来学

令和3年度「地域未来学」講座21 開催報告

日時
10月20日(水)15:30~16:30
講師
丸尾 容子 教授(東北工業大学 工学部 環境応用化学科)
タイトル
「ナノ材料化学と未来社会~感染症対応技術や二酸化炭素低減技術など~」

ナノ材料化学について研究されている、本学環境応用化学科 丸尾 容子先生にご講義をいただきました。
はじめに、ナノ粒子とは1~100nmの粒子であり、例えるなら人間を地球の大きさだとするとナノ粒子は10円玉程の大きさと、非常に小さな粒子であるとイメージできます。
物質をナノサイズまで小さくすると、表面の占める割合は大きくなりますが、表面では通常と異なる化学反応が起こったり、電気的性質や強度などの物性が異なったりするため、この特性を活かしたナノテクノロジーの分野では、医薬品や半導体など様々な分野で実用化が模索されていることが分かりました。

低炭素社会とナノ材料の関係についても解説され、低炭素社会実現のために注目される「水素」の運搬・貯蔵を安全に行うため、ナノ材料の空間を利用する研究が進められており、今後のエネルギー利用にも大きく関わってくることを示唆されました。
また、燃料電池の電極反応においても、ナノ材料があることで効率よく反応を起こす事ができると解説されました。

予防医学への利用として、人間のナノレベルの生体ガスと病気の関係性が明らかになってきていますが、試薬を入れた多孔質ガラスに呼気を吹きかけることで病気を感知できるという、先生の研究についてもご紹介されました。
人体への侵襲性が無く、時間的・金銭的コストも下げて検査を行うことができ、感染症予防への対応も進んでいるとのことで、将来的に人々の健康管理に活かせる研究になればとの展望も示されました。
講義内では、学生が手作業でナノ材料を作製する動画も紹介され、日常から遠いイメージがある化学が身近に感じられる60分となりました。

令和3年度「地域未来学」講座21 開催報告
令和3年度「地域未来学」講座21 開催報告