地域未来構築事業

地域未来学

令和3年度「地域未来学」講座16 開催報告

日時
9月18日(土)13:30~14:30
講師
金田 諦應 氏(通大寺 住職)
タイトル
「傾聴移動喫茶カフェ デ モンク「未来を拓くケアアート」」

震災直後から「カフェ デ モンク」の活動を続けている金田 諦應住職より、当時を振り返り、被災地の人々のケア・傾聴のあり方、そして未来へ生きる力の根源的問いに触れ、再生への道のりについて講義をいただきました。

震災後、火葬場での読経ボランティア、追悼行脚での体験から、傾聴活動のカフェ デ モンクは始まりました。その中で、ケアに求められる空間として、金田住職は3つの要素を挙げています。傾聴の場は「ホッとできる場所」「安心して泣ける場所」を前提に、

  1. 場を開く
  2. 場所をほぐし、自分をほぐす
  3. 場所に仕掛ける

という要素が大切とされました。
それぞれの中に、ユーモアや智慧によってコントロールされた慈悲、ケアする側の共感疲労も防ぐ全体を俯瞰する視点などの要素が盛り込まれています。
「モンク」は英語でお坊さんのこと。被災者の「文句」を聞き、一緒に「悶苦」するという意味が込められています。カフェのBGMはセロニアス・モンクのJAZZでスピーカーはBOSE製。カフェではガンジー金田と名乗るなど、遊び心が散りばめられています。
その土地の風土から生まれた宗教的資源の利用例として、手のひら地蔵さんの紹介もあり、被災者の心に空気のように「寄り添い」「悲しみを共有」することで、いつしか未来への物語が紡がれると語られました。

最後に、浄土とはという問い(生きる問い)に対しても、「地震・津波」「破壊と再生」、悲しみを背負ったもの同士、その悲しみに共感する人々が共に未来への物語を創造していく場所、その出来事が立ち上がる場所こそが浄土なのだとして、そこには、「ケアされる人」「ケアする人」の区別は無い。そのことを、カフェデモンクの活動から得ることができた10年だったとして締めくくりとされました。

ご紹介

  • NHK WORLD-JAPAN「Direct Talk」 https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/ondemand/video/2058807/
  • Netflix Nシリーズ未解決ミステリー「波にさらわれた魂」
  • 『傾聴のコツ—―話を「否定せず、遮らず、拒まず」』(三笠書房)
  • 『東日本大震災 3.11生と死のはざまで』(春秋社) 
令和3年度「地域未来学」講座16 開催報告
令和3年度「地域未来学」講座16 開催報告