講座情報

令和5年度「地域未来学」講座22 開催報告

日 時:11月28日(火)18:00~19:00
講 師: 曹 淼(東北工業大学 建築学部 建築学科 准教授)
タイトル:「AI技術を活用した建築設計」

建築に人工知能(AI)を取り込む技術を研究している、曹先生にご講義いただきました。

講義のはじめに、インテリアデザインを例に、AIをどのように活用して設計するか基本的な流れを説明されました。現状は人の手が入る部分もあり時間がかかっているものの、将来的に可能となる、ヒントを与えるだけでAIが設計するという仕組みについて話されました。

そもそも、AI(人工知能)の定義は「学習・推論・判断といった人間の知能のもつ機能を備えたコンピューターシステム」と辞書にある通り、AIとはシステムから指令を出して何かを行うものと話され、AIの起源や歴史に触れながら、現代でどのようにAIが応用されてきたかを解説されました。
続いてAIの建築分野への活用事例について紹介されました。事例としては、画像認識の技術を活かし、仕上げ材判定、鉄筋コンクリート造の壁のコア抜き可否診断、屋根のさびの自動検出などの調査・診断に使える「J-Brain」、音声認識の記述を活かし、画面の指摘箇所をタッチし指摘事項を発話するだけで入力、またAIが工種を予測し、登録された施工会社を自動表示する「AmiVoice」等、様々な例を示されました。

後半は、画像生成AI技術を用いた建築設計について説明されました。形状、色、材質等のキーワードから画像に起こしていくまでを、利用されるモデルなどの単語の説明も加えながら、実際の画像ができあがる過程を示し解説されました。また、様々なキーワードを入れる、またキーワードを入れ替えた際の画像例を見せ、AIによる設計の可能性を示されました。
AI設計の問題点として、同じ建物を設計しても、特定のキーワード(人物名等)を入れることで様相が変わってしまう、いわば設計が一定しない点をあげ、安定した生成方法を確立する必要があると指摘されました。ただし技術が進歩すれば、今生きている世界を反映した設計を作ることも可能とし、また、ビルバオ・グッゲンハイム美術館を例に、スケッチ等からイメージを元にいくつか設計させ、一番近いイメージのものを用いて設計を進めれば、問題点を補えるのではないかと話され、講義を終えました。