講座情報

令和5年度「地域未来学」講座20 開催報告

日 時:11月18日(土)13:30~14:30
講 師:川島 和浩先生(東北工業大学 ライフデザイン学部 経営コミュニケーション学科 教授)
タイトル:「中小企業がSDGsに取組む理由は何か? ―地域経済・地域社会における中小企業の役割を考える―」

企業の会計について研究されている川島先生にご講義いただきました。

前半、SDGsとはどういったものか、またそのSDGsをどのように理解すべきか、「5Pモデル」「ウェディングケーキモデル」といった理解モデルを示しながら説明され、持続可能な開発目標を達成するためには、経済、社会、環境という3つの主要な要素を調和させることが必要であり、企業には本業のビジネスを通じて社会的課題を解決し、企業利益の獲得を目指す両利きの経営が求められると話されました。また、大手広告代理店や中小企業基盤整備機構が行ったSDGsに関するアンケート調査結果から中小企業のSDGsに対する、認知度、理解度等は高まっている一方、その意義や取組み方法への理解が進んでおらず、SDGsの取組みには進展しきれていない状況にあることが確認されたと話されました。

中盤から後半にかけては、中小企業の定義と、日本国内、特に北海道・東北地域の中小企業の現状について説明され、日本経済においては中小企業の、企業数や従業員数、付加価値額が大きな割合を占めており、経済全体を支えている旨お話されました。
その後、中小企業がSDGsに取組む意義・ポイントとして、「事業そのものによる社会課題の解決」への取組みという点をあげました。また、中小機構が公表しているガイドブックにおいて、企業経営において重要な要素である、①「消費者・顧客」、②「取引先」、③「資金調達」、④「採用(人材確保)」という4つの視点にもとづいて、中小企業におけるSDGs経営の必要性を示している例を紹介し、その点について詳しく解説されました。

SDGs経営の実践に向けては、「SDGs Compass」等を活用し、自社の課題をSDGsに整合させることで、リスクを負うことなく、ステークホルダー(利害関係者)とのより良い関係を構築できると話されました。また、中小企業は、現場で直面している問題を把握し、その解決のために考えて取り組むことができる機動力をもっているため、社会課題の解決に取り組みやすく、また得意な領域の異なる複数の企業が集まって新事業を展開できる可能性が大きいと話されました。


最後に、SDGsはビジネスに活用すべきものであり、SDGsに関わる身近な取組みが経営強化につながる、そのためには多様な利害関係者との連携を模索しつつ、地域社会の課題を解決する「両利きの経営」が大切になる、と強調され、講義を終えました。